10月のクラスの直前でしたが…

10月のクラスの直前でしたが、11日にサンパレスでKバレエの『ドン・キホーテ』を観てきました。熊川さんの十八番(?)の演目とあって、会場は満員。バレエ好き!熊川ファン!という風情の人々に混じって、今回は男性の観客が多かったように思えました。

細かいところまで練り上げられた舞台は、見応え十分。楽しい舞台でした。7~8年ほど前までの熊川さんなら、ためいきのでるような見事なジャンプの後に「どう?」と観客の反応を見るようなスターの雰囲気を感じることがあったのですが、ここ5~6年の熊川さんは、難易度の高いパを控えめにさりげなく踊る、渋いダンサーに変貌しています。芸術監督を努め、自身が主役を踊る、この重圧が熊川さんに厚みを与えたと思います。熊川さんのバジルは、陽気で調子の良い床屋バジルではなく、思慮深く、信頼のおける好青年。ドン・キホーテとの友情、ジプシー達も味方につける誠実さなど、バジルの人間力が感じられます。何より、初めは緊張感のとれなかった佐々部佳代さんのキトリを見守るような踊りは、父性さえ感じました。

エスパーダの宮尾俊太郎さんのかっこいい闘牛士ぶり、闘牛士の集団のダイナミックな踊り、みんな熊川さんに認めてもらいたい!という気持ちが踊りに気合いをいれているようです。こうしてみると、やはり熊川さんの存在はすごいですね。

前回の『ロミオとジュリエット』でもちらりと思ったのですが、私に力があったら、この公演を一日だけでもコヴェントガーデンにかけてみたい…。きっとロンドンの人は、熊川さんの仕事ぶりに驚き、賞賛すると思います(三浦裕子)