行きつ戻りつしながら、春は進んでいきます


行きつ戻りつしながら、春は進んでいきます。13日から始まり20日に終えた4月クラスの期間中、暖かかったり、寒さが戻ったり。お陰で我が家の庭には、チューリップとつつじが同時に咲きました。その横にはカキツバタが一輪咲いています。

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テーブルクロスはイタリア製の明るい柄ものにしました。お花はオレンジのガーベラと薄紫のトルコキキョウに、グリーンの濃淡という組み合わせです。
1年目のクラスのテーマはアメリカのお菓子です。1927年にロサンゼルスで創作され、1947年にレシピが公開されたというシフォンケーキ、ニューヨークタイプのチーズケーキ、近頃はパリでも見かけるブラウニーを作ります。シフォンケーキは毎年、つぶしたバナナを入れる「バナナシフォンケーキ」を作っています。シフォンケーキは生地に、植物油と水を加えて柔らかくするものですが、つぶしたバナナを加えるとよりしっとりとなります。(クラスで型から外すときにうまく行かず、こんな仕上がりになってしまいました…)「リッチ・ベークド・チーズケーキ」と名付けたチーズケーキは、ニューヨークタイプのしっとりとして濃厚な味わいが身上。おいしくて簡単にでき、日持ちもするというホームメイドのお菓子の王様のようなお菓子です。「ブラウニー」はくるみやレーズンを入れるチョコレート入りバターケーキ。作り方は簡単ですが、おいしいチョコレートを使うとぐっと大人の味わいになります。ブラウニーは、人が眠っている間に仕事をしてくれる妖精の名前なのですよ。


3年目以上のクラスでは。今月はすべてクッキーは製菓用のフランス小麦を使ってオーソドックスな「サブレ」を作りました。使った粉は、ほろほろと崩れる食感のあるエクリチュールです。焼きたてよりも翌日の方が食感の違いがはっきりするようでした。クラスの型全員にレシピ文の粉を持って帰っていただき、自宅でも試していただけるようにしました。


3年目のクラスではこの他に「レモンのトルテ」「プレインロールケーキ」を作りました。レモンのトルテはドイツ菓子風に底にミュルベタイクを敷き、レモンクリームを挟んだヴィーナーマッセをのせてシャンティクリームで仕上げたものです。表面縁の飾りはレモンカードです。クラスの皆さまに少しずつ仕上げていただいたら、不揃いになってしまいました。(笑)


4年から5年目のクラスのメニューは「柔らかいフレジエ」「レモンのバターケーキ(アーモンド仕上げ)」です。フレジエはビスキュイ・ザマンドで作ることが多いと思うのですが、ここではジョコンド生地で作り、クリームもムースリーヌではなくディプロマットにして、軽い仕上がりにしました。表面はほんのりピンクに染めたシャンティクリームで仕上げています。ロールケーキは、卵の香りのするふんわり軽い生地にシャンティクリームを巻いた、シンプルなものを敢えて作りました。多めの卵にしっかりとグラニュー糖を加えてきちんと泡立て、軽い生地を作ります。シャンティクリームの量はもうすこし少なくてもいいようです。


6年から10年ほど続いているクラスでは「蜂蜜風味のチーズケーキ」「くるみとコーヒーのケーキ」を作りました。蜂蜜とチーズはお菓子の原点ともいえる組み合わせ、いろんなあわせ方が考えられますが、ここでは、3つの生地を重ねてみました。蜂蜜入りのジェノワーズに蜂蜜入りのチーズクリームを重ねて焼き、蜂蜜入りのイボワールシャンティ仕上げるというものです。チーズのコクと蜂蜜の風味がマッチした味わいとなりました。くるみのコーヒーケーキはクグロフ型で焼きました。ローストしたくるみを入れたチョコレート生地にラムで溶かしたコーヒー液がマーブル状に流れています。表面はチョコレートでコーティングし、くるみとピスタシオを飾ってみました。


15年以上続いているクラスは「レモン風味のシブースト」「ピンクのフランクフルタークランツ」を作りました。レモン風味のシブーストはレモンの皮のシロップ煮をアパレイユに入れて焼き、シブーストクリームにもレモン果汁を入れた爽やかなシブーストです。私はシブーストクリームが好きで、この他にもいちじくのワイン煮風味、オレンジ風味、チョコレートのものなど、いろんなシブーストを作っています。フランクフルタークランツはドイツ菓子ですが、生地もクリームも軽くして、ラズベリー風味で作ってみました。



今年20年目を迎える一番長いクラスのメニューは「カマンベールチーズケーキ」そして「ピンクのフランクフルタークランツ」です。カマンベールチーズを生かしたチーズケーキを作りたいという思いは以前からありました。柔らかくクリーミィであの独特な風味をいかしたとろんとしたクリームを柔らかいジェノワーズでサンドしています。表面は余り生地で作ったクラムをまぶしました。「もう少し甘さを控えた方がワインに合うケーキになる」という意見がでました。改良の余地がありそうです。ピンクのフランクフルタークランツにまぶしたラズベリーピューレで作ったクロカントは、焼き温度が高すぎて、ピンクの色がとんでしまいました。ごめんなさい。お味はラズベリーの甘酸っぱさが残っていたのですが…。

今月は新玉葱と梅干しのスープに黒ごまのパンを添えて、ティータイムの前にいただきました。お子さまの入学式や午前保育、ゴールデンウィークの計画など、わくわくした空気に満ちた4月のクラスでした。(三浦裕子)