夏のSweets&Tableお菓子の会(8月27日)

 今年の夏、いかがお過ごしでしたでしょうか。
 Sweets&Tableは8月は夏休みですが、毎年お菓子職人の方を招いて、プロのお菓子を楽しむ会を開いています。今年は8月25日にウィーン菓子店『ノイエス』の野澤孝彦シェフを招いて、『ウィーン菓子の会』を開きました。

 ヨーロッパのお菓子の中でもウィーン菓子は、独特の存在感があります。ウィーンという街は17世紀から19世紀末にかけて、スペインまでを領土とするハプスブルク家のお膝元として、東方からも文化が流れ込む最先端の文化が流れ込む国際都市でした。そんな文化背景の中で育まれたお菓子は贅沢で洗練されたものだったのですが、1914 Volume Pills年にハプスブルク王朝が実質的に幕をおろしてからは、繁栄の時代の香りをまとった伝統菓子としてヨーロッパで愛され続けきました。
 新しいおいしさを追い求めるのがパリのフランス菓子だとしたら、ウィーン菓子は古き良き時代の伝統を今に伝えるお菓子です。そんなウィーン菓子を「伝統と格式を背負うが故に、時の流れにたえる普遍的なおいしさがある」と捉えておられるのが、ウィーンの老舗菓子店『ハイナー』で働いた経験をお持ちの野澤孝彦シェフです。

 この日野澤シェフがSweets&Tableのために用意して下さったメニューは、『ブレッツェルサンド・生ハム入り』『料理風のパラチンケン・チキンとザウワークラウト入り』『シュヴァルツヴェルダーの冷菓』『ザッハトルテ』。そしておみやげとして『アルトヴィーナーヌス』『リンツァートルテ』『ヌスボイゲル』『トッフェン風味のザルツコンフェクト』『クーゲルフップフ(クグロフ)』という豪華版。

 野澤シェフからウィーン菓子の魅力についてのお話をうかがい、塩味のきいたブレッツェルサンド、トッフェン風味のソースが添えられたパラチンケンに満足し、ザッハトルテの端正なおいしさに、伝統のお菓子の味わいの深さを再確認したひとときでした。お菓子は味そのもののおいしさだけでなく、その背景にある文化の香りをも味わえるとより豊かに楽しむことができるのです。(三浦裕子)