今年は紅葉が美しいですね。

今年は紅葉が美しいですね。私は高校生の時から表千家のお茶の湯に親しんでいます。11日に私の先生が崇福寺でお茶席をもたれたので、朝から一日お手伝いをいたしました。当日朝方はあいにくの雨でしたが、10時前にはあがり、境内の紅葉はそれは格別に美しかったです。目下大学院の修士論文のためにヨーロッパの近代史の本ばかり読んでいるせいか、日本の美が心にしみるようでした。

今月のSweets&Tableは、紅玉りんごを50個ほど使いました。私はりんごのお菓子が大好きで、紅玉が出回る季節は、気持ちが弾みます。少し気が早いのですがクリスマスツリーを飾り、テーブルは深紅のクロスに深紅の薔薇を飾り、モワレの黒のナプキンをあわせました。





2年目のクラスは、パート・シュクレの復習をかねて「タルト・オ・シトロン」「タルト・カライブ」を作りました。火を通したレモンクリームにシャンティクリームをのせた甘酸っぱいタルト・オ・シトロンは、私の好きなタルトのひとつです。タルト・カライブはチョコレートクリームの焼きタルト。ほろ苦い大人の味です。このクラスはクッキーの変わりに、キャラメリゼしてペッパー風味をつけたアーモンドを作りました。


3年目のクラスは「栗とミルクチョコレートのムース」「やわらかいオレンジケーキ」「ガレット・ブルトンヌ」です。栗とミルクチョコレートのムースは、底にカカオ風味のジョコンド生地、表面にはサントノーレの口金で絞ったカカオ風味のビスキュイ生地を使っています。ミルクチョコレートムースとディプロマートクリームの間から栗がでてくる嬉しい(笑)おいしさです。オレンジケーキは杏ジャムをぬってグラスがけをしています。オレンジの果汁をたっぷりと含んだ生地はしっとりとやわらかく、アールグレイにぴったりのお菓子です。ガレット・ブルトンヌはおなじみ、バターたっぷりのリッチな分厚いクッキー。Sweets&Tableでは『ラ・ヴィエイユ・フランス』の木村シェフのレシピを参考にして、塩を効かせてしっかりと芯まで火を通す焼き方で作っています。とてもおいしいです。



4年目以上のクラスでは「シナモン&キャラメル風味の軽いりんごのパイ」と名付けたりんごのパイ、2011年に作った「りんごのパウンドケーキ」、「軽いフロレンティーナ」を作りました。りんごのパイは、ブリゼ生地に軽くソテーしたりんごを並べてアパレイユを流して焼き、イタリアンメレンゲ入りの軽いシャンティーをのせたお菓子です。ブリゼとアパレイユの間にキャラメルをしのばせています。水分が多いため、3日間以内で召し上がっていただきたいパイなのですが、キャラメル&りんご&シナモンのゴールデントリオが醸し出す味わいは、晩秋ならではの楽しみです。パウンドケーキにもりんごとキャラメルをあわせました。煮りんごのみじん切りを焼き入れてしっとりとやわらかいパウンドケーキにしました。フロレンティーナは、土台をパート・シュクレではなくブリゼ生地にしてみました。ヌガーの部分も薄くして、さくっと軽い口当たりです。

 






12年以上続いているクラスでは「さつまいもとりんごのプチ・ガトー」「りんご入りバウムクーヘン」「スペキュラーズ」を作りました。さつまいもとりんごのプチ・ガトーは、さつまいもとりんごを煮る料理からヒントを得ました。さつまいもの素朴な甘さとりんごの甘酸っぱさがとてもよくあうのです。ここではさつまいもをクリームにして煮りんごとあわせました。アクセントにレーズンを入れています。ダイスに切ってソテーしたさつまいもを飾りました。バウムクーヘンはバター、粉、砂糖、卵は1:1:1:2というドイツのバウムクーヘンの基本生地に煮りんごをあわせてみました。この焼き菓子、好評です!一番ながいクラスでは「シナモン風味のりんごのムース」を作りました。りんごムースとシナモンクリームにシナモン風味のジョコンド生地をあわせたみたのですが、内心、何かもうひとつしっくりこなかったのです。クラスでも同様の意見がでて、改良点がみえてきました。やはりながいクラスのお生徒さんは頼りになります!

今月の小説の中のお菓子で取りあげた本は、アガサ・クリスティーの『春をして君を離れ』です。作中にはたくさんの英国らしいティータイムとお食事のメニューがでてきます。ビスケットの話から英国人気質まで話は広がって、ついつい時間がたつのを忘れてしまいます。お菓子の前には熱々のオニオングラタンスープを用意しました。(三浦裕子)