待ちわびた秋・9月クラス(9月19日)

 9月のSweets&Tableは10日の土曜日から20日のテーブルクラスまで。10日はまだ日中30度を超える気温でしたが、朝夕の風、虫の音はもう秋です。教室中に庭の彼岸花が咲きました。写真ではわかりづかいかもしれませんが、庭の右奥にあるのは、たぬきのオブジェです。これは私の祖父が作ったもの。祖父はヴァイオリンと日本舞踊、盆栽と多趣味の人で、私たち孫にいろんなおもちゃを作ってくれました。ある日突然庭に鉄棒ができていたこともあります。このたぬきの像もそのひとつ。このたぬきの目は、当時弟が遊んでいたビー玉です。    9月のテーブルは、いつもどこかに和のテイストを入れることにしています。今年は松花堂弁当の蓋をお敷きに使ってみました。お皿はガラス、ティーセットはポルトガルのヴィシタのものです。どこかなつかしさを感じるたたづまいが気に入っています。これにちりめんのお膝掛けを配しました。  9月はメニューにも和を入れることにしています。1年目のクラスは「抹茶のロールケーキ」「ガトー・バスク風あずき」「ポルボロン風きなこのキッキー」を作りました。抹茶のロールケーキの生地は卵黄を多めにいれたビスキュイ。粉にも工夫を凝らしています。ガトー・バスクはカスタード入りの焼き菓子ですが、ここではラムで風味づけしたあずきをいれています。焦がした小麦粉を使うのが本来のポルボロンですが、きなこを使って香ばしく仕上げました。  2年目のクラスのメニューは「栗きんとんスフレロール」「いちじくのパイ」「スウィートポテト」。ちょっと手間はかかるけれどかけただけのことはある、というのがスフレ生地です。きめが細かくしっとりとしてやわらかいその独特の食感は、和風のお菓子にぴったり。今月は栗きんとんを使って作る簡単な栗クリームでロールケーキにしました。いちじくのパイは、赤ワインでコンポートにしたいちじくで作ります。中にキャラメルをいれるのが味の決め手です。スウィートポテトはさつまいもの皮をケースにして仕上げました。

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 3年目のクラスは「かぼちゃのムースケーキ」「エクレア・マッチャ&キャラメル」です。かぼちゃはタルトのフィリングとしてもおいしいですが、ババロアにしてもとてもおいしいのですよ。黒ごまをちらしたビスキュイ生地をとい型に敷きつめて、こんなふうに仕上げてみました。お月見にもぴったりのお菓子です。エクレアはショコラ&カフェに続第二弾。毎回クラスでどちらが好きかで意見が分かれます。私は結局、どちらも好きです!  4年目以上のクラスでは「かぼちゃのブッセ」「チャイ風味のシフォンケーキ」「スブリゾロナ」を作りました。裏ごして作ったかぼちゃのピューレを入れたビスキュイに、かぼちゃで作ったあんことクリームをサンドしています。軽いクリームの中からコクのあるかぼちゃあんがてくるのが楽しいお菓子です。  生姜、シナモンスティック、ナツメグで風味をつけて煮だした紅茶で作ったシフォンケーキには、生姜風味のクリームを添えました。このところ教室で話題になっているのが、シフォンケーキの型のはずし方。今迄はナイフを使っていましたが、えんとつのつた方の方を押してはずすと、きれいにはずれることが判明!教室で実演する度に、お〜っとどよめきがおきます。初めは勇気がいりますが、ぜひ、お試し下さい。チャイ風味は秋にぴったりの味わいです。スブリゾロナはイタリアのマントヴァ地方の郷土菓子。コーンミールを使った素朴なクッキーです。  12年以上続いている長いクラスでは「抹茶のドボストルテ」などを作りました。生地はドボスよりも軽くさっくりとした食感になるように工夫しています。クリームは表面にぬるのはイボワールのガナッシュ、中と側面には、イボワールシャンティと使い分けています。  一番長いクラスおメニューは「いちじくのトルテ」「果汁いりのオレンジマドレーヌ」「ココナツとレモンのサブレ」です。いちじくのトルテはシュクレ生地の上に軽めのアーモンドクリームをあわせ、いちじくのシャンティクリームやコンポートをのせたケーキです。表面にはフレッシュいちじくを飾りました。果汁をふくませたマドレーヌは、一部果汁を含ませすぎて、べっちゃとなってしまいました…。クラスの方、ごめんなさい。もう一度、含ませ方を考えなければなりません。反省しています。ココナツとレモンのサブレは、表面に色粉で薄い黄色にしたホワイトチョコレートを絞りました。  お菓子は材料や分量は同じでも、気温、生地の混ぜ方、焼き具合によって、仕上がりが変化します。おいしいお菓子を作るポイントは、季節の温度、生地の状態をしっかりみながら五感を働かせて丁寧に作ることです。(三浦裕子)