『ラ・ヴィエイユ・フランス』の木村シェフのお菓子の会をしました

今年も21日に東京の『ラ・ヴィエイユ・フランス』の木村シェフのお菓子の会をしました。ホーム・メイドのお菓子作りを学ぶ私たちですが、毎年8月はプロのお菓子の味と技術にふれるために、このような催しを行っています。

今年は木村シェフに伝統菓子の捉え方というテーマを投げかけました。昨年からお菓子の世界では、伝統菓子を見直すという機運が高まっていますが、伝統菓子といっても捉え方はさまざま。今日本において活躍されている40〜50歳代のパティシエなら、伝統菓子といえばルノートルをイメージする方が多いそうですが、30歳代ではピエール・エルメだということ(!)。歴史を振り返るということは、どの時代からどの時代までという前提を明確にして大局的に捉えないと本質はつかめないということを改めて感じる話です。

木村シェフは、ちょうど『料理通信』の9月号で『ノリエット』の永井シェフ、『エーグルドゥース』の寺井シェフと伝統菓子について対談なさったばかりだとかで、熱く語って下さいました。強調されたのは、伝統菓子はまず基本通りに作った上でアレンジをするべきだ、ということでした。伝統菓子に対するあこがれ、尊敬の念を持っているならば、そうあって然るべきだとも。木村シェフにとっての伝統菓子は、パリの『ラ・ヴィエイユ・フランス』の先代ルネ氏が作っていたものやストラスブールやアルザスで作っていたお菓子だそう。木村シェフのお菓子には、どこか古き良き時代の気配があると感じるのは、1987年から11年間フランスでお菓子を作ってこられたという背景から醸し出されるものなのです。

今年のメニューは、「ズッキーニとトマト、バジリコ風味のキッシュ」「ケーク・サレ」「ババ・エグゾチック」「ボベス」「ルション」「マカロン」でした。

今年のメニューは、「ズッキーニとトマト、バジリコ風味のキッシュ」「ケーク・サレ」「ババ・エグゾチック」「ボベス」「ルション」「マカロン」でした。

ズッキーニとトマト、バジリコのキッシュ、ベーコンや玉葱入りのケーク・サレは、清らかな半紙に墨でしっかりと書かれた楷書のような、くっきりとした味わい。ババ・エグゾチックはババ、トロピカルフルーツのクリーム、ミルクチョコレートのクリームをヴェリーヌ仕立てにしたもの。完熟のマンゴがたっぷりのっています。

ボベスはイタリアやドイツの影響を感じるアルザスの郷土菓子。サクサクの生地のあいだにカレンツとシュトロイゼルが散らされています。ルションはフレッシュさを残した杏のコンポートにヴァニラとキャラメルのアイスクリームをあわせたもの。ほっぺが落ちるおいしさでした。そしておみやげはマカロン。木村シェフのマカロンは熱烈なファンがいることで有名です。

飲み物は自家製のジンジャーエール、冷たいアールグレイとミントティー、コーヒーを用意していたのですが、私三浦がジンジャーエールとアールグレイをまちがって炭酸で割ってしまい、皆様に迷惑をおかけしてしまいました…慌て者です。ごめんなさい。
恒例のくじの特賞は今年は特に豪華版!シルバーのサーヴィス用のケーキナイフとフォークです。木村シェフが番号札と選び、読み上げられるまでは、会場にはし〜んと静まり返りました。特賞は尚美さんの手に。おめでとうございます。

東京からSweets&Tableのために駆けつけてくださった木村シェフ、助手をして下さった「ジョルジュ・マルソー」の江藤シェフ、西山さん、暑い中さんかして下さった皆様、ありがとうございました。(三浦裕子)