お菓子を楽しむことのできる喜び・切ない春(4月19日)
あのような大震災が起っても今年の桜は美しかったですね…。春光に包まれて、ふんわりと咲きそろった桜にあらためて自然への畏敬の念を感じる春です。日に日に明らかになる被災の実情には胸が痛みます。あらためて被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。そして普段どおりの暮らしをし、お菓子を楽しむことができる私たちは、できるだけの支援をささやかでも長く続けていかなければ、と思います。
今月は苺を使ったフランス菓子「フレジエ」を5年目以上のクラスで作りました。フレジエはジョコンドまたはザマンドの生地で苺とクレーム・ムースリーヌをサンドしたお菓子ですが、今年はクレーム・ムースリーヌをディプロマートクリームに変えて作りました。以前はムースリーヌを使ったフレジエを作っていたのですが、今年は「やわらかいフレジエ」を作りたいと思いました。ですので写真のとおり、切り分け方によってはシャープな形が保てません。ほんのりピンクに色づけしたシャンティクリームで仕上げました。
焼き菓子は、庭のレモンを使った「レモンのバターケーキ」です。レモンを使ったバターケーキは今迄にいろんなタイプを作ってきましたが、今月は、バターの一部をグレープシードオイルに変えた軽い口あたりのもの。底幅が5.5センチ、長さ37センチのとい型で焼き、レモンカードで風味をつけたホワイトチョコレートをぬってローストしたスライスアーモンドをはりつけました。クッキーは、「黒ごまのクッキー」です。ざっくりとした歯触りを強調するために、コーンフレークを砕いたものを加えました。
2年目のクラスは「レモン風味のレアチーズケーキ」「ダックワーズ」「レモンスクエア」を作りました。レアチーズケーキは、「レモンカード」を使って甘酸っぱく仕上げます。ダックワーズはオーバルの型で抜くのではなく、直径2センチの丸口金でハート型に絞り出して焼きました。間にはコーヒー風味とカラメル風味のバタークリームをサンドしています。
3年目のクラスのメニューは「レモンのトルテ」「ふんわりとしたロールケーキ」「マシュマロ」です。レモンのトルテは、ドイツ風に軽く仕上げた共だて生地に、レモン風味のディプロマートをサンドし、シャンティクリームで仕上げたものです。もちろん底にはミュルベ・タイクを敷いています。まわりにちらしたのは、庭のレモンの葉です。
ふんわりとしたロールケーキは、たくさんの卵に、少なめの粉でふんわりと焼き上げるみんなが大好きなロールケーキ。巻き込むシャンティは、少なめの方が味のバランスが良いようです。マシュマロはイタリアンメレンゲにゼラチンをいれて作ります。手作りのマシュマロはお口の中でとろんととけておいしいですよ。
長いクラスでは「アールグレイのケーキ」を作りました。ジョコンドの間にはさんだクリームはアールグレイのクレムーです。アールグレイをたっぷりと使った濃厚で口どけの良いクレムーはとてもおいしいのですが、もうひとつ何か欲しいような気がしています。焼き菓子は「きんかんのタルト」近頃大粒でおいしいきんかんを見かけることが多く、とてもおいしいのでタルトにしてみました。オーブン・ミトンの小嶋ルミ先生のご本がヒントです。きんかんでママレードを作り、きび砂糖入りのアーモンドクリームとともに焼きました。
一番長いクラスでは「蜂蜜風味のチーズケーキ」を作りました。写真ではわかりにくいのですが、底の生地は蜂蜜入りのジェノワーズです。その上に蜂蜜とアングレーズ入りのチーズ生地を流して焼いたもの。蜂蜜入りのホワイトチョコレートガナッシュで仕上げました。蜂蜜とチーズの組み合わせを楽しむケーを作りたかったのですが、もう少し練り上げる余地がありそうです。クッキーは「トマトのクッキー」を作りました。こちらはトマトのピューレ、パプリカ入りで明るく楽しいものになりました。
1年目のクラスのテーマはアメリカのお菓子。「バナナのシフォンケーキ」「リッチベークドチーズケーキ」「ブラウニー」というメニューです。卵黄を残さず、小さくつくるシフォンケーキ、ニューヨークタイプのベークドチーズケーキ、くるみやレーズンだけでなく、キャラメルやマシュマロもいれて焼くブラウニー。毎年1年目で作る定番のメニューです。けれども今月も話に夢中になって写真をとりそびれてしまいました…。
この春、九州大学大学院・比較社会文化研究学府の国際社会専攻に入学しました。お菓子の文化について考え、まとめてみるつもりです。4月8日に入学式を終え、履修届を終えたところです。(三浦裕子)