『ラ・ヴィエイユ・フランス』の木村成克シェフを迎えて(7月31日)
Sweets&Tableでは、7月29日に『ラ・ヴィエイユ・フランス』の木村成克シェフをお迎えして、お菓子の会をいたしました。蝉時雨とぬけるような青空、暑いけれど風はさわやかな夏の一日、木村シェフのお話とお菓子を楽しみました。
木村シェフをお迎えするのは2年ぶりです。今年のお菓子は「特製ケーク・サレ」「そら豆と海老のキッシュ」「いちじくのコンポート、バニラアイスとラズベリーのシャーベット添え」「ビション・ド・リヨン」「5つの味のマカロン」です。今年も『ジョルジュ・マルソー』の江藤元紀さんと『ロイヤル』の西山めぐみさんがアシスタントに駆けつけてくれました。
「特製ケーク・サレ」はレシピ付きで、木村シェフより丁寧な作り方の説明がありました。ベーコン、オニオン、トマト、黒と緑のオリーブがぎっしりと詰まったこのケーク・サレには、あるものがかくし味に入っています。これがコクのある味わいの秘訣です。冷たくひやした濃厚な自家製のトマトジューズをほんの一口添えました。
「そら豆と海老のキッシュ」は『ラ・ヴィエイユ・フランス』人気のキッシュの一品です。ブリゼをしっかりと焼く、フランス産のそら豆の皮をひとつひとつむく、海老の背わたを丁寧に取り除く、木村シェフの仕事ぶりを見ていると、きちんとした作業の積み重ねがおいしさを作るという、あたりまえのことを実感します。
いちじくのコンポートは、バニラとレモン入りのシロップの風味はのっているのですが、いちじくのフレッシュ感はそのままです。そのまま食べるよりもうんとおいしい!バニラアイスクリームとラズベリーのシャーベットを添えるとなお、おいしい!
「ビション・ド・リヨン」はレモンのカスタード入りのパイです。木村シェフは私たちにパイのさくっとしたところを食べていただきたいから…と当日の1時間ほど前に焼き上がるように計算しておられました。さくさくのパイに甘酸っぱいカスタード、まさにお菓子のおいしさの醍醐味です。
おみやげはマカロンです。今やマカロンを置いていないお店を探すのがむずかしいほど一般的になったマカロンですが、『ラ・ヴィエイユ・フランス』のものは端正な佇まい、表面はさくっとして中はしっとりとした食感、きちんとした甘さ、アーモンドの風味、やはり別格です。毎年参加者の中なら抽選で、教室で使っている英国製のシルバーのサーバーやテイラーズの紅茶をプレゼントしています。今年もラッキーな方が下のお写真の他に3名。
今年の木村シェフの話は、果物農家との信頼関係の上で届くおいしいあんずや桃などを使うことのできる喜び、材料を無駄なくきちんと使い切ることの大切さ、ひいては堅実に暮らすことの大切さに及びました。あらためて、おいしいお菓子を楽しむことの幸せを噛みしめました。
何でもそうだと思うのですが、良いものに接することはとても大切なこと。美しい絵画や器にふれていくうちにその人の美の基準ができていくように、おいしいお菓子を食べると、味わいの基準は確実に上がります。Sweets&Tableでお伝えしたいのは、おいしいものだけを選んで食べましょう、ということとは少し違います。材料を大切に扱い、おいしものを作りましょう、ということです。
この日の夜は『ジョルジュ・マルソー』の江藤さんが幹事となり、木村シェフの元で働いた方々が集まって食事会がありました。私もゲストとして参加。鹿児島から駆けつけた人、仙台出張を切り上げてきた人、木村シェフを囲んで楽しいひとときを過ごしました。(三浦裕子)