博多座で文楽を観ました。(12月21日)

博多座で二代目吉田玉男襲名披露公演『一谷ふたば軍記』を観ました。初めての文楽です。『一谷ふたば軍記』(いちのたにふたばぐんき)の熊谷陣屋の段は、以前歌舞伎で観た中村吉右衛門丈の熊谷次郎直実に胸がしめつけられるように感激した演目で、楽しみにしていました。
ほんとうに素晴らしかった…。息子敦盛の無念を思う藤の局の悲しさ、同じ年の息子を持つ相模の母としての思いと武士の妻としての立場の葛藤が、人形の肩の震え、指先の表情で心に届きます。熊谷が首桶の蓋を取る場面は、劇場全体が水を打ったように静まりかえりました。自分の中の日本人の情念が揺り動かされたひとときでした。(三浦裕子)

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