『シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテからみえるドイツ菓子・トルテの文化史的考察』
3月26日に九州大学大学院・比較社会文化学府の国際社会専攻の修士課程を卒業しました。修士論文のテーマは『シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテからみえるドイツ菓子・トルテの文化史的考察』です。日本の苺のショートケーキのお手本にもなったドイツ菓子トルテの成立過程を整理し、シュヴェルツヴェルダー・キルシュトルテがドイツ菓子、さらには人々にとってどんな存在であったかを考察してみました。シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテが紹介された本としては一番古いとされる1934年度版のドイツの本を手に入れ、現在のものと構成の比較をし、どのような変化を遂げたかをみていく過程は、ほんとうに心躍るものでした。このトルテはいわゆるシュヴァルツヴァルト地方の郷土菓子ではないのです。論文を書きすすめる中で、お菓子の社会的な意味、人々がお菓子に求めてきたものなどに考えが巡り……もう少し研究を進めたくなり、博士課程に進学することになりました。お菓子には食べる楽しみ、作る楽しみはもちろんですが、それに込められた人々の暮らしの知恵や思いを知る楽しみもあるのです。これらのお菓子文化とも呼べるものを真摯に探っていきたいと思います。(三浦裕子)