3月の名称である弥生は、草木が弥生（いやおい）る
3月の名称である弥生は、草木が弥生（いやおい）る、つまり勢いを増し、茂ることから名付けられたともいわれるそうです。Sweets&Tableの3月クラスの期間中（9日〜16日）、庭の植物が深呼吸をしているように感じました。ユキヤナギは燃えるように咲いています。今月は、テーブルもグリーンです。
1年目のクラスはフランスの家庭的なお菓子を作りました。メニューは「パン・ビー」「ガトー・ショコラ」「チュイール」です。パン・ビーは、卵黄をメレンゲの中に入れて作る簡単なビスキュイ・ア・ラ・キュイエールの生地に、カスタードクリームをはさんだ素朴なお菓子です。ガトー・ショコラはいろんなレシピがありますが、教室ではカカオパウダーをたっぷり入れて、表面がざっくとしてほろ苦く、コクのあるタイプを作っています。テュイールはスライスアーモンドを入れた薄焼きクッキー。オーブンから出してすぐにめん棒にあてるか、とよ型にはりつけて形を作ります。テーブルセッティングについては、洋食器のそろえ方についてお話しました。
3年目のクラスでは、「春風」「抹茶とホワイトチョコレートのシフォンケーキ」「ホワイトチョコチップクッキー」を作りました。春風はやわらかいジェノワーズにディプロマートクリーム、苺、シャンティクリームをあわせたお菓子です。ラズベリークリームをかくし味に忍ばせています。抹茶風味の生地にホワイトチョコレートを散らして焼いたシフォンケーキは、ホワイトチョコレートが良い具合に溶けて、独特のおいしさがあります、この日はイボワールシャンティをぬってみました。ホワイトチョコチップクッキーは、焼けたホワイトチョコがナッツのような風味になるサクサクのおいしさです。
4年目から5年目のクラスのクラスのメニューは「苺とホワイトチョコレートのムース」「蜂蜜レモンロール」「チーズマシュマロ」です。苺とホワイトチョコレートの相性の良さは生かして、苺のムースとホワイトチョコレートのクリームをジョコンド生地でまとめたプチ・ガトータイプのお菓子は、春らしい色合いも魅力のひとつ。お祝いの日にぴったりのお菓子です。蜂蜜レモンロールは、ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールの生地に蜂蜜で作ったシロップにレモン汁を混ぜてたっぷりとうち、バタークリームをぬって巻いたものです。バタークリームも、蜂蜜とレモン汁で作ったイタリアンメレンゲで作ります。チーズマシュマロは、イタリアンメレンゲとゼラチンで作るマシュマロにクリームチーズを混ぜたもの。ふんわりとしてミルキーなとびきりおいしいマシュマロができます。
8年以上続いているクラスでは「苺のモンブラン」「いちじくとシナモンのパウンドケーキ」「ヌガー・イン・クッキー」を作りました。苺のモンブランは、苺のジャムを入れてタルトレット型に焼いたパン・ド・ジェーヌにディプロマートクリーム、苺、苺の果汁いりイボワールシャンティーを重ねたお菓子です。こんもりと仕上がることからこの名をつけてみました。オレンジジュースで煮たドライいちじくを入れたパウンドケーキはイル・プルーの弓田先生のレシピを参考にしたものです。粉にちょっと工夫をして、しっとりとした口あたりに仕上げました。ドーナッツ型に絞ったクッキー生地にヌガー生地を入れて焼いたクッキーは、慌ててしまってうまく焼けませんでした。申し訳ありません。
5年続いているクラスは「苺のモンブラン」に「ティグレ」と「抹茶まっちゃクッキー」を作りました。ティグレはフィナンシェ生地にチョコレートを散らして焼くベルギーのお菓子です。くぼみにガナッシュを絞って仕上げます。抹茶入りのクッキーに抹茶の糖衣をかけて仕上げたクッキーは、抹茶まっちゃクッキーと名前をつけてみました。パリッとしてお茶の香りが広がる抹茶糖衣がおいしさの要です。
一番長いクラスは少し冒険をしてみました。メニューは「生姜と抹茶のタルト」「苺の焼き菓子」「抹茶まっちゃクッキー」です。タルトは生姜のコンフィ入りのアーモンドクリームと抹茶のクリームをあわせたものですが、アーモンドクリームの火に入れた方にひと工夫してざっくりとした触感に仕上げました。苺の焼き菓子は40年ほど前のウィーンのお菓子の本をヒントにして作ったお菓子です。パート・シュクレ（ミュルベ・タイク）に苺のジャムを挟んで2種類の生地を焼き重ねたお菓子なのですが、なんともいえない深いおいしさがあります。手間はかかりますが、手をかけることの良さをクラスの皆様と再確認したことでした。
今月は、お菓子の前にパセリトーストを添えたホワイトアスパラのスープをおだしして、早春の香りを楽しみました。
3月は卒業式の季節です。私もなんとか九州大学大学院の修士課程を修めることができ、26日に学位授与式があります。（三浦裕子）