新緑の美しい季節です


新緑の美しい季節です。我が家の庭は、写真には映っていませんが、シャクヤクの花盛りです。テーブルはグリーンのクロスにベージュの木の葉型のお皿をあわせました。椅子のカバーもベージュに変えてみましたが、いかがでしょうか。今月の教室は11日から18日まで行いました。

 

 

 

 

 


1年目の5月のクラスのメニューはウィーン菓子です。「カーディナルシュニッテン」「リンツァートルテ」「バニーレキプフプフェルン」私は初めてお菓子を習った先生がウィーンでお菓子を学ばれた方でしたから、これらはほんとうに懐かしいお菓子です。今から35年以上も前ですが、月4回毎週7年間通って、みっちりとオーストリアのお菓子を学びました。カーディナルシュニッテンは生地に特徴があります。メレンゲ生地を棒状に絞り出した間に卵黄生地を絞り出し、帯状に生地を焼くのです。間にはコーヒー風味のシャンティークリームをたっぷりとサンドするのが、決まりです。さっくりとして軽い口あたりのお菓子です。リンツァートルテは16世紀あたりまで起源を遡ることができるお菓子で、タルトとトルテの分岐点になったといわれるお菓子の歴史上、重要な意味を持つお菓子です。リンツは発祥地の名前で、ドナウ河沿いの都市です。10年ほど前に念願かなってリンツまで足をのばし、オリジナルリンツァートルテを味わいました。生地の間にラズベリージャムをはさみ、残りの生地を表面に絞り出すのが特徴です。バニーレキプフェルンは、キプフェルン型のクッキー。馬蹄形とも三日月型ともとれるこの形は、パンにもよくみられます。


3年目のクラスでは、フランス菓子「ガトー・サンマルク」「ケーク・サレ」を作りました。ガトー・サンマルクは近頃はあまり見かけませんが、20年ほど前はフランス菓子のお店では、オペラと共に必ず見かけたお菓子でした。ジョコンド生地の間に、ショコラとバニラのクリームが重ねられたこのお菓子が私は大好きです。表面をカラメリゼするのが、おいしさの決め手です。ケーク・サレは、パウンド型に焼く塩味の焼き菓子です。私はオイルはオリーブオイル、グレープシードオイル、チーズはチェダー、グリエール、パルメザンと、内容にあわせて使い分け、粉も薄力粉に強力粉を混ぜて、生地に強さをだすようにしています。ケーク・サレは、自由にバリエーションを楽しめる焼き菓子です。ですので、教室でとりあげる時は必ず2種類作るようにして、バリエーションのつけ方をみていただけるようにしています。初めてケーク・サレを作るこのクラスでは、「カレー風味のブロッコリー」と「トマト&黒オリーブ」です。

 

 

 

 

 

 


4年目以上のクラスでは総て、今月は予定を変更して「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」を作りました。このシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは、私にとって特別なお菓子です。今から40年以上前の話ですが、当時、高校生だった私は、このトルテを初めて食べてそのおいしさに感激し、この長い名前を覚えておこうとお店の紙ナプキンに書いて持ち帰ったのです。なかなか見所のある高校生でしょう(笑)その後も、このお菓子を見つけるたびに、素通りすることができず、いろんなところでこのトルテを食べました。ドイツ、オーストリアはもちろん、イギリスやフランス、アメリカ、香港、シンガポール、台湾などでも…。このトルテは世界で一番ポピュラーなケーキではないかと考えています。大学院の修士論文もこのトルテの文化的考察をとりあげました。

以前も教室で作っていたのですが、そのレシピは20年ほど前のドイツのもので、手の込んだ古めかしい(?)作り方で家庭で楽しむのには向いていないと、ここ10年ほどはカリキュラムからはずしていました。2003年にシュヴァルツヴァルト地方のシュタウフェンを訪ねてこのトルテの原型にふれ、2007年にもドイツの都市をまわって最近のドイツ菓子の傾向を整理して、このレシピを作りました。中に入れるグリオットはオーストリア菓子『サイラー』から分けていただいたものを使いました。ミュルベ・タイクを敷いてラズベリージャムをぬり、ほんのりスパイスを聞かせたショコラーデン・マッセに、キルシュ入りのザーネと酸っぱいグリオットのコンポートをサンドして、削りチョコレートをのせて、キルシュ漬けのグリオットをのせて。手はかかりますが、どのクラスでも「おいしい!」「こんなケーキいいですね〜」「懐かしいお味」という声があがりました。

 

 


 

 

 

 

7年目までのクラスでは焼き菓子として、オーストラリア菓子の「ラミントン」を作りました。軽いスポンジ生地にチョコレートアイシングをまぶしてココナツをまぶすお菓子です。10年以上続いている長いクラスの焼き菓子は「レモンのクグロフ」を作りました。レモンの風味をつけたさっくりとしたバター生地にレモンクリームを入れて焼きます。生地の中からクリームがでてきたらおもしろい…と考えたものです。イボワールとレモンピールで仕上げました。


クッキーは今月は「ショートブレッド」を作りました。長方形に仕上げたのは、アクリチュールを使い、ペチコート型に成型して三角に切り分けたものはスーパーヴァイオレットで作り、粉の違いを楽しんでいただきました。写真の木型はスコットランドの国花アザミが彫られたショートブレッド型です。


今月は、早生キャベツで作ったコールスローとガーリックトーストをティータイムの前にお出ししました。お茶はレモングラス緑茶とハニーコーヒーの香りたかいコーヒー。新緑の中、お菓子を楽しみながら、楽しいひとときを過ごせることに感謝。(三浦裕子)

 

mac ox 10.8download