久しぶりに自宅ダイニングでの教室(5月26日)

今月は17日から24日まで、久しぶりに自宅の部屋で教室をいたしました。風薫る5月には、使いたいテーブルクロスがあるのです。ヴォーヴィレの薔薇の模様が入ったグリーンの濃淡のクロスで、これに大倉陶園のミントグリーンのティーセットをあわせるとほんとうに初夏らしい爽やかなテーブルになります。自宅のグリーンに塗り替えたドアと食器棚です。


今月は甘夏、レモン、オレンジを使ったお菓子を作りました。2年

目のクラスは「皐月のロールケーキ」「バウムクーヘン」「レモンスクエア」です。皐月のロールケーキは、初夏の爽やかさをイメージして作ったロールケーキです。レモンの皮を入れた軽い薄焼きのジェノワーズをレモン入りのシャンティクリームで巻いて作ります。いつもはグレープフルーツの果実を入れて巻くのですが、今月は出盛りの甘夏の果実を使ってみました。甘夏のほろ苦さがまたいいものです。

バウムクーヘンは2年目のクラスで毎年作っているお菓子。バター生地にスパイスをほんのり効かせて焼く、クラシックなこの焼き菓子が私はとても好きです。クッキーは30年以上も前にアメリカの本で見つけたレシピで、今でも作り続けているレモンスクエアです。ショートブレッドの上にレモン汁を加えた生地をのせて焼く酸っぱいクッキー、切り方によってスクエアと呼んだりバーと呼んだりしています。

3年目以上のクラスでは「オレンジのショートケーキ」「くるみのパウンドケーキ・コーヒー風味」「くるみのパウンドケーキ・アプリコット入り」の3品を作りました。

「オレンジのショートケーキ」は25年年前に「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ』の弓田亨先生に教わったレシピを元にしたお菓子です。たっぷりのオレンジの果実とオレンジゼリーをのせて作るこのお菓子は、とてもおいしいのですが、またとても切り分けにくいのです(笑)そこでプチ・ガトー風に変えてみました。生地はビスキュイ・オ・ザマンドを使います。たっぷりとシロップをうっても弾力が残る生地です。これにオレンジの風味をつけたシャンティクリームをぬってオレンジの果実を挟んで……この説明で、おいしさを想像していただけると思います。とろみのついたオレンジゼリーを根気よくたっぷりとのせるのが、仕上げの重要なポイントなのですが、各クラスによって微妙にゼリーののり方が違います。それぞれのできばえをご覧下さい。

3年目以上のクラスでは、くるみを主役にパウンドケーキを2種類焼きました。くるみはお菓子作りで一番親しまれているナッツではないでしょうか。(アーモンドは別格です)コクとほのかな甘みという、くるみの持ち味をそれぞれに強調した焼き菓子を考えてみました。ひとつはコーヒー風味にしてコクを。もう1つはアプリコットとあわせて甘みを。くるみはたっぷりと入れるのですが、20%ほどフードプロセッサーでパン粉状にひいて加えました。どちらが好みかは、各クラスとも半々というところ。私自身も、その日によって好みが変わります(笑)

今月はバロック期のお菓子についてお話をしました。バロック期はお菓子の歴史上、重要な時代です。砂糖の普及が進み、卵を泡立てて焼くソフトなお菓子が焼かれるようになるのです。

ティータイムの前には、コールスローとガーリックトーストをご用意いたしました。教室中に、新キャベツもだんだん葉に力強さがでてきました。教室中に庭のジャーマンアイリスが見事に咲いて、静かに花を閉じました。初夏の合間の雨には、はしり梅雨の気配を感じます。(三浦裕子