庭のミントで爽やかなお菓子を。6月クラス(6月23日)



今月は6月14日から21日まで教室をしました。今月のお菓子の主役はミントです。我が家の庭は目下ミントの最盛期。あちこちにつややかに茂っています。このミントをふんだんに使って、爽やかなお菓子を作りました。テーブルはラルフローレンの布で作ったペイズリー柄のクロスです。お花は昔から親しくしている近所のお屋敷の庭からいただいた紫陽花。このお宅の紫陽花は色が濃くて美しいのです。ブルーとピンクに加えて、今年は白いアナベルもいただきました。2年目のクラスのメニューは、「ミント&チョコレートムース」「ふんわりとしたロールケーキ」「タイムのビスケット」です。


ミント&チョコレートムースは、カカオプードル入りのジェノワーズにチョコレートムースとミントのババロアを重ねたもの。チョコレートムースは、ガナッシュにメレンゲを混ぜて作るシンプルで簡単なムースです。この上にミントの葉を漬け込んで香りを移した牛乳で作ったババロアを流して冷やし、表面にミントリキュールをほんの少し加えたゼリーをぬって仕上げます。清涼感のあるとろんとしたババロアにほろ苦いチョコレートという組み合わせは、私の好きなお菓子の1つです。

ふんわりとしたロールケーキは、しっかりと泡立てたふわふわのジェノワーズ生地にシャンティクリームをあわせたプレインなお菓子です。ジェノワーズは砂糖を多め加えてしっかりとした生地を作り、シャンティクリームの方には砂糖をひかえています。できたてはジェノワーズの卵の風味とシャンティクリームのミルキーさの組み合わせが楽しいのですが、冷蔵庫で一晩ねかせると生地が落ち着き、シャンティにバターのような風味が加わって、また違う美味しさとなります。タイムのビスケットは、刻んだフレッシュタイムを使います。粉の一部にコーンスターチを加えて、ほろっとした歯触りにしました。口の中でタイムの香りが広がる軽いビスケット。今頃の季節におすすめです。3年以上続いているクラスでは、今月は全クラス「軽いミント&チョコレートムース」「ダークリンツァートルテ(ママレード入り)」「リンツァートルテ(ゆずジャム入り)」を作りました。



今月の焼き菓子はリンツァートルテです。今月は長四角のタルト型で作ってみました。ひとつはカカオプードルを入れてダークリンツァートルテと名付けました。2003年にリンツを訪ねてリンツァートルテを食べ歩いたことがあるのですが、いわゆるビスケット色のリンツァートルテの他に濃い茶色のもの、固いものや柔らかいものといろんなリンツァートルテに出会いました。スパイス入りサクットした生地にジャムをぬって、表面を格子状に生地でおおう。リンツァートルテは、この枠の中でいろんなヴァリエーションを楽しめるお菓子だとこの時に思いました。




ダークリンツァートルテには生地にカカオプードルを入れて、手製の甘夏のママレードを合わせました。もうひとつは手製のゆずのジャムを入れました。ママレードもゆずジャムも味わいがくっきりとして美味しい!との感想が多かったのですが、やはり旬の頃に作った手製のジャムはいいですね。生地に入れるスパイスは、シナモンとナツメグを使いました。


今月のお菓子の歴史の話はリンツァートルテについておさらいしました。17世紀後半の料理書にすでに記述がみられること。さらにトルテ、タルトという言葉の語源について。ここは2年前に修士論文でしらべた箇所であるので、熱が入ってしまいました(笑)17世紀のヨーロッパで生まれたお菓子の流れを組むものを約300年後に日本で私たちが楽しんでいるのです。今月はティータイムの前に、冷たいかぼちゃのスープをご用意しました。(三浦裕子)