名残のブルーベリーと新生姜を使って・9月クラス(9月16日)
今年は秋の訪れが早いよう。9月6日から13日までの教室の期間中、窓を開けると心地よい涼風が流れました。 今月のテーブルは、浅葱色のクロスに溜め塗りのお膳をおき、ガラスのお皿とポルトガルのデミタスカップをあわせてみました。カトラリーはマザーオパールの取手の付いたスターリングシルバーのティーナイフとフォーク。新古典の代表的な紋様のヤシのデザインがほどこされたものです。
お菓子のメニューは2年目のクラスは「栗きんとんスフレロール」「いちじくのパイ「スウィートポテト」。
3年目のクラスは「かぼちゃのムースケーキ」「エクレア・マッチャ&エクレア・キャラメル」。
5年以上続いているクラスはすべて「ブルーベリーのトルテ」「新生姜のシフォンケーキ」「かぼちゃのクッキー・満月」です。
2年目のクラスの「栗きんとんスフレロール」はスフレ生地がポイントです。最初にバターで薄力粉を炒めて作りこの生地は、きめが細かくしっとりとした食感が持ち味。温めた牛乳を加えたり、漉したりと手間はかかるのですが、意外と失敗しない生地なのです。クリームは市販の栗きんとんを生クリームに混ぜた簡単な栗クリームをあわせました。お煎茶にもあうお菓子です。 いちじくのパイは、ブリゼ生地に赤ワイン煮にしたいちじくをアパレイユとともに焼いたパイです。このパイは底にキャラメルを敷いているのがミソ。この時期には必ず作りたい、教室でも人気のパイのひとつです。ご存知スウィートポテトは、くりぬいたさつまいもをケースにして焼きました。ふぞろいな形は楽しいと思います。
3年目のクラスの「かぼちゃのムースケーキ」は裏ごしたかぼちゃをいれたムースをいれた、いわばシャルロットケーキ。かぼちゃは乳製品との相性がよく、プリン、アイスクリームにしてもおいしいものです。ここではとい型を使い、ババロアにして、黒ごまをまぶしたビスキュイ・ア・ラ・キュエールで包みました。とい型は冷蔵庫にも納まりがいいので、家庭向きの型としておすすめです。 このクラスでは、エクレアの2種類作りました。コーヒーとチョコレート味が定番だとしたら、マッチャとキャラメルは新定番にしたいお味です。これを作るといつもマッチャ支持派とキャラメル支持派が半々。頑張ってふたつ作りましょう!ということになります。
5年以上そして長く続いているクラスでは新作を3種類作りました。「ブルーベリーのトルテ」は、今注目のアサイー&ブルーベリージュースで作るクリームを使います。スターチを加えた薄力粉で共立て生地を作り、このクリームを重ねて仕上げます。底にミュルベ・タイク(パート・シュクレ)を敷くのもおいしさの決め手。生地との間にはブルーベリージャムをぬりました。デコレーションには生のブルーベリーを使いたかったのですが、9月に入ったらお店には並んでおらず、残念ながら冷凍を使いました。各クラスによって仕上げが少しずつ違います。ご覧下さい。切り分ける作業もできるだけ、クラスの方にしていただくようにしています。この役は人気がなく(笑)どのクラスでもじゃんけんで選出された人の担当です。私は「切り分けるのも練習ですよ」と激励しているのですが…。
福岡は秋の訪れを告げる風物詩として、筥崎宮での放生
会(ほうじょうや)があります。この時の屋台で売るだされるのが、
大きな新生姜です。新生姜を見ると、幼い頃、祖母と放生会にで買ったことを思い出します。新生姜は柔らかいので、5ミリ角くらいのあられ状に切ってシロップ煮にしました。生姜の風味のふんわりとした生地に、生姜のシロップ煮がはじける楽しいシフォンケーキができました。リモージュのアンティークのお皿に盛ると、シフォンもまたこんな雰囲気になります。
今年は仲秋の名月が美しかったですね。かぼちゃあんを丸くのせたクッキーを「満月」と名付けてみました。サクサクのクッキー生地は丸めてくぼみを作り、8分ほど焼いておきます。ここのかぼちゃあんを丸く絞ってさらに焼きます。 今月は夏の名残りとして、冷たいコーンスープを作しました。涼風が肌さむく感じられるようになると、本格的なお菓子の季節です。自然の恵に感謝しつつ、秋の深まりを楽しみましょう。(三浦裕子)