バナナとミルクチョコのサンマルク(9月12日)

朝夕に秋を感じる頃となりました。夏休み明け、9月の教室は2日から11まで行いました。9 月は毎年和食器を使うことにしています。今月のテーブルの主役は我が家の古いなます皿です。浅黄色のクロスに薄抹茶色の梅型プレイスマット、深川製磁のコーヒーカップをあわせてみました。

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今月は全クラス統一メニュー。「バナナとミルクチョコレートのサンマルク」「マドレーヌ・抹茶」「マドレーヌ・キャラメル」です。

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サンマルクはオペラとともに一時代を築いたフランス菓子ですが、近頃はお店でもなかなか見かけません。ジョコンド生地にガナッシュとバニラ風味のシャンティクリームを重ねて、表面をキャラメリゼしたサンマルクは、私の好きなお菓子のひとつなのですが。今月のサンマルクはミルクチョコレートのガナッシュに、バナナのムースをあわせてみました。クラスによってキャラメリゼの具合が微妙違います(笑)

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近頃、マドレーヌがパリで人気が復活しているとか。それも中にクリームを入れたような楽しいアレンジが流行っているそうです。それに因んで、マドレーヌをとりあげてみました。一つは薄力粉の一部を浮き粉に変えた配合のマドレーヌです。ドイツ菓子にヒントを得ました。ふんわりとした食感に仕上がるので、風味は抹茶にしました。

もう一つは、パリで流行っているというクリーム入りのマドレーヌです。キャラメルクリームを入れてみました。焼きたての熱いうちに、プクンと膨らんだところに細長い口金をつけた絞り袋をさして、クリームを絞り入れます。

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マドレーヌはフランスの国民的なお菓子です。プルーストの『失われた時を求めて』の中スワン家の方への章で、主人公が紅茶にプチット・マドレーヌをひたして食べた時に幼い頃の思い出が甦るというくだりは、本編を読んだ事がない人でも知っている有名なストーリィ。夏に講習会をしていただいた木村克成シェフは「フランス人はマドレーヌのふくっと膨らんだ方が表と考えるけれど、日本人は貝殻型が浮き出た方が表と考える」とおっしゃっていましたが、貝殻の方は聖なるものを、膨らんだ方はおへそといわれて肉感的なイメージを喚起させるとは、フランスの食文化研究家のマグロンヌ・トゥーサン=サマが指摘しているところです。

今月はティータイムの前に、冷たいコーンスープを用意いたしました。テーブルトークは、先月出光美術館で観た京焼きの紋様「竜田川」について。

「もみじ葉の流れざりせば竜田川 水の秋をばだれか知らまし」(『古今和歌集』坂上是則)の話をしました。(三浦裕子)

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