博多座の大歌舞伎の初日(6月3日)

 

 

 

 

 

 

昨日博多座で、六月大歌舞伎初日の昼の部を観てきました。狂言は『双喋々曲輪日記 角力場』(ふたつちょうちょう くるわにっき)『三人形』『雁りのたより』です。

 

 

 

 

『双蝶々曲輪日記』は片岡愛之助さんが大柄で力自慢の力士・放駒長吉と、優男の若旦那山形屋与五郎という対照的な二人を愛嬌たっぷりに演じ分けている、楽しかい舞台。染五郎さんは力も器量一段上の力士・濡髪の役所。いつまでも若手と思っていた染五郎さんの、堂々たる中堅ぶりを頼もしいく感じました。

『三人組』は吉原を舞台にした常磐津舞踊。錦絵のようなあでやかさを堪能しました。

『雁りのたより』は髪結いの五郎七と若殿の愛妾である司をめぐる、上方和事の喜劇味のある人情話。五郎七はもちろん坂田藤十郎。お声の艶、佇まいの華、やはり上方歌舞伎ならではの芳醇な柔らかさは圧倒的です。司役の中村壱太郎さんも、愛妾となっても気高さを失わない美しさが漂っています。若殿の家来にからかわれた五郎七の素性が判明し、めでたしめでたしとなって幕。安心して席を立てるお勧めの狂言です。しばし江戸情緒にひたる贅沢なひとときでした。(三浦裕子)