バレエ『カルメン』(10月23日)

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21日火曜日に福岡サンパレスホールで、Kバレエの『カルメン』を観ました。オペラで有名なメリメ作の小説『カルメン』を題材にしたKバレエの新作です。
カルメンを踊った白石あゆ美さんはとても魅力的なダンサーですね。朽ち果てる直前のバラのような退廃的な香りが漂っていました。誘うようにしなる足も力強く美しい。2幕で移り気なカルメンの首にホセが思わず手をかけた後、カルメンは恐れるような気配をみせるのですが、ここでフンとあざ笑うような演出があると、いっそうカルメンの野性味が際立つと思ったのですが、熊川さん、いかがでしょうか。(生意気言って、申し訳ありません笑)
熊川哲也さんのドン・ホセももちろん、よかったです。熊川さんのあのキレのあるパ、安定感と鋭さがあわさった回転とジャンプも健在。生真面目なホセの落ちていく自分に対する苛立と深い悔恨が、せまってくるようでした。
エスカミーリョの遅沢佑介さんは独特の雰囲気のあるダンサーです。たぶん彼の方がホセ役にむいているのではないでしょうか。観てみたいです。遅沢さんのホセを。
19世紀末のスペインを偶像化した空気感あふれる舞台装置も良かったし、ライティングもドラマティック。2幕の2場の闘牛場の前で、貴族の観客とピエロの踊りが入る構成は、クラシックバレエを愛する熊川さんならではの構成と感じました。
実は今年の6月に兵庫でNoismの『カルメン』も観ました。金森譲さん率いるノイズムも、とても惹かれるダンスカンパニーです。こちらは劇的舞踏と銘うった公演で、語りの入る演出でしたが、Noismも熱い舞台でした。Noismのダンサーはとにかくみんな迫力があるのです。
熊川哲也さんと金森譲さん、どちらも日本のダンス界になくてはならぬ人。そのふたりが表現する『カルメン』を観ることができ、またダンスのおもしろさに気づいた私です。(三浦裕子)