かぼちゃのケーキ、栗の焼き菓子(11月12日)

 季節は晩秋から初冬へとゆっくり移ろっています。11月のテーブルはスペイン製の赤いクロスにガラスの角皿をあわせて、モダンテイストにしてみました。ナプキンは黒のモワレ、お花は深紅の薔薇をあわせました。当教室Sweets&Tableの空間にはモダンテイストは少々無理があるのですが、たまには気分をかえてみるのも皆さまのテーブルづくりのヒントになるのでは、と考えています。お菓子のメニューは一年目のクラスはパート・シュクレを使ったタルトを3品、3年目以上のクラスではかぼちゃのケーキと栗の焼き菓子を2品作りました。1年目の11月クラスのテーマはパート・シュクレです。パート・シュクレについて解説をし、「フルーツタルト」「アルザス風のアップルタルト」「パンプキンパイ」を作りました。フルーツタルトは、パート・シュクレにクレーム・ダマンドを詰めて焼き、カスタードクリームを広げて苺などの果物をのせた皆が大好きなタルトです。苺がアメリカ産のものしか手に入らなかったので、良く熟したキーウィフルーツや洋梨も混ぜました。それでも、香ばしく焼けたタルト、コクのあるアーモンドクリーム、とろりとしたカスタードに程よい酸味の果物という取り合わせは、テーブルについた人を笑顔にするおいしさです。りんごのお菓子は毎年、アルザス風にレーズンを入れてソースで焼き込むたるとの仕上げています。りんごはもちろん紅玉、縦八つ割にしたものを煮くずれしないように火を通したものを使います。パンプキンパイは煮て裏ごしたかぼちゃに、砂糖、卵、生クリーム、バター、シナモンなどで風味をつけたかぼちゃクリームを詰めた素朴なタルトです。タルトをおいしく作るコツは火の通し方。かならずタルトだけをから焼きしましょう。


3年目以上のクラスでは「かぼちゃのケーキ」「栗のパン・ド・ジェーヌ(栗の渋皮煮入り)」「栗のパン・ド・ジェーヌ(アルディツショア風)」を作りました。かぼちゃを使ったお菓子は、今までムースやモンブラン風、チーズケーキなどいろいろ作ってきました。かぼちゃはお味といい色合いといいお菓子にアレンジしやすい野菜ですね。今回は裏ごしたかぼちゃをムースとクリームの間のように仕上げ、シナモン風味のジェノワーズと会わせました。ジェノワーズは薄力粉に浮き粉を混ぜたかろやかな口あたりにし、シナモンを効かせたものです。クラス中にスライスした生地の切れ端を皆でつまむと、「生地自体がおいしい」と声があがりました。かぼちゃクリームを生クリームの量を調節して2種類に作り分け、生地をサンドした間と表面にぬるもの、そしてデコレーション用に使いました。秋らしい家庭的なおいしいケーキができました。各クラスの仕上げの違いをご覧下さい。






今年の栗の焼き菓子はパン・ド・ジェーヌのアレンジで2種類作りました。栗の渋皮煮を半割にしてごろんと入れたものと、イタリア栗のパート・ド・マロンを入れたものです。フランスのアルディシュ県は栗の産地として有名で、栗のペーストを入れた焼き菓子をアルディツショアと呼ぶことがあります。ですので、こんな名前をつけてみました。それぞれの生地は、栗の甘さや固形栗をいれるかペーストをいれるかなどを考慮して、基本のパン・ド・ジェーヌの分量を変えています。粉も少し冒険してみました。けれどもこれは勇み足でした…。粉はスーパーヴァイオレットでよかったようです。クラスでは冒険生地と薄力粉生地の2種類を味わっていただきました。切り分け方は各クラスさまざまです。いかがでしょうか。
 



今月はティータイムの前に、オニオングラタンスープを召し上がっていただきました。一年目のテーブルの話のテーマは「イメージのまとめ方」です。3年目以上のクラスでは「栗を使ったさまざまなお菓子」についてお話ししました。(三浦裕子)