モンテカルロ・バレエ団の『LAC〜白鳥の湖〜』(3月2日)

2月27日に東京文化会館でモンテカルロ・バレエ団の『LAC〜白鳥の湖〜』を観てきました。モンテカルロ・バレエの芸術監督ジャン=クリストフ・マイヨーは『眠れる森の美女』を独自の視点で解釈した『ラ・ベル(眠れる森の美女)』でバレエ界を震撼させた人。この『LAC』は本邦初演で、しかも舞台前にマイヨーが作品について語るという特典付きでした。

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『LAC』は、マイヨーが白鳥の湖の読み解きをジャン・ルオー(この人は今、フランスの村上春樹と呼ばれているそうです)に依頼して作り上げた作品。『白鳥の湖』が「母と息子」をめぐる物語へと変貌していました。舞台装置は、王、王妃、王子のためのマットな質感のシルバークレイの3つの玉座が並ぶだけのシンプルでモダンなもの。そこへ淡いピーチ、グリーン、ワイン色衣装を着た王子の花嫁候補らしき女性が踊る様は、夢のような美しさでした。マイヨーが「あっ、このしぐさは見たことある!というようなバレエらしからぬ振り付けがでてきますよ」と語っていたように、随所にくすっと笑いたくなるような感情表現のしぐさがでてきます。けれども、もちろん確かなダンステクニックに裏打ちされたパフォーマンスは華麗の一言につきます。

王妃と夜の女王の争いと分裂、白鳥の繊細さと黒鳥の大胆さ、女性というものの魅力と激しさがバレエを通じて舞台に繰り広げられます。何だか王子はそれに翻弄されているだけという感じ(笑)白鳥と王子が手に手を取って倒れた後、渋いグレイの柔らかい天幕が二人を包むという幕切れは、この世のこと総ては心の中の出来事というような暗示を感じました。

バレエの前日には千歳烏山の『ラ・ヴィエイユ・フランス』によって、木村成克シェフとおしゃべり。お菓子は新作の程よく塩加減の効いたキャラメルバタークリームとプラリネ入りカスタードが入ったシュークリームをいただきました。

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バレエの翌日は、東京に住む姪とそのフィアンセと3人で南青山のフランス料理『l’as』に行き、カジュアルな雰囲気で切れ味の良いお料理を楽しみました。写真はありません…食べることとおしゃべりに夢中で(笑)(三浦裕子)