和食を学ぶ夏のティータイム(8月6日)

Sweets&Tableでは今年も8月5日に夏休みを利用して、和食を学ぶ夏のティータイムをいたしました。福岡は新型コロナの感染拡大が収まらず落ち着かない日々ですが、お席の間隔をとって対面にならないように配慮して開催いたしました。

講師は、今年も元・浄水茶寮店主穐吉陽一郎先生です。今年のテーマは「一汁一菜」を取り上げました。「一汁一菜」は、2016 年に料理研究家の土井善晴先生によって家庭料理を見直す切り口として取り上げられて話題となりました。穐吉先生も土井先生のお考えに共感を覚えるということで、今年のテーマに選びました。特に穐吉先生は長い間茶懐石を作り続けて来られた方です。炊きたての白いご飯、汁、向付で始まる懐石は、決して高級料理ではなく、家庭料理にこそ生かされるものと語られました。

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「一汁一菜」は平安時代後期の庶民の暮らしを描いた『病草紙』の中にもすでに見ることができる食事の膳で、以来日本人はハレの本膳料理はもちろん、日常の家庭料理においても親しみ育んできた形態です。このような資料を読んだ後で、穐吉氏に用意していただいた炊きたてのご飯をいただきました。懐石膳に盛られて出てきた最初の一汁一菜のご飯は、まだ蒸らしの足りない「べちゃべちゃ」のご飯です。二膳目はふっくらと蒸しあがったご飯とお汁のお替りです。最後に羽釜にこびりついたお焦げで作った湯桶でお椀を清めます。

今日の献立は、味噌汁の具は新蓮根の蓮根餅、松の実とピスタショ入り、向付は加減酢をした鯛の昆布〆。穐吉氏手書きの献立です。

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炊きたての白いご飯の美味しさに感激し、改めて豊かな食事とは何かを考えたひとときでした。(三浦裕子)