青葉美しく、風薫る5月は爽やかなお菓子を。(5月22日)

 
 5月のクラスは庭先のジャーマンアイリスが満開の頃に始まりました。気がつけば、小さな若葉が青々とした枝葉になっています。立夏から小満へ季節は進んでいるのですね。
 今月は、ガラスの角皿に赤絵の湯のみをあわせたくだけたテーブルにしてみました。お花は甘夏色のダリアをみつけたので、膝掛けを同色のちりめんにして、コンソールには柿右衛門窯の絵皿にマイセンの人形、それに昔の深川製磁のコーヒーポットを飾ってみました。
 今月の1年目クラスのテーマはウィーン菓子です。「カーディナルシュニッテン」「リンツァートルテ」「バニーレキュッフェルン」を作り、ウィーン菓子の歴史や魅力を楽しみました。

 2 Live Sex年目のクラスは「五月のロールケーキ」と名付けたグレープフルーツ入りの爽やかなロールケーキ、ドーム型に焼いた「バウムクーヘン」「アーモンドのクッキー」です。
ロールケーキはクリームにひと工夫しています。バウムクーヘンはほのかにスパイスの風味がしっとりとしたタイプです。

 3年目のクラスでは「ガトー・サンマルク」と「ケーク・サレ」を作りました。サンマルクはオペラと共に一世を風靡したフランス菓子。表面のキャラメリゼがひと手間かかりますが、私の好きなお菓子のひとつです。すっかり有名になってしまったケーク・サレですが、3年目のクラスでは、カレーの風味を効かせたブロッコリー入りとトマト&オリーブの2種類を作りました。

 4年目以上のクラスのメニューは「ストライプケーキ」「ほろ苦い甘夏のママレード入りパウンド」「ココナツメレンゲ」です。ストライプケーキと名付けたのは、カカオプードルとチョコレート入りのコクのある生地に、ディプロマートクリームをサンドして切り口を見せたお菓子です。カカオ生地とディプロマートクリームがとてもよくあうのです。
 焼き菓子は甘夏のママレードを使った焼き菓子。義妹の実家から毎年届く甘夏で、今年もゴールデンウィークの間にたくさんママレードを作りました。それを使うのですが、半分は生地の中に混ぜ、残りは生地の間にいれて焼くという作り方にしました。間に入れるママレードがおもしろい模様となります。ココナツを入れた焼きメレンゲは、チョコレートでコーティングしたのですが、気温が高く教室の時間中にはうまく固まりませんでした…。でもそのままでもおいしいのですよ!


 10年以上続いているクラスでは「オレンジとチョコレートのハーモニィ」「オセロ」「ピーカンナッツボウル」を作りました。オレンジとチョコレートのハーモニィは、オレンジのクレムーにチョコレートムース、ガナッシュをあわせ、シャンティクリームとオレンジクリームでデコレーションしたケーキです。クラスで「ちょっと手はかかるけれど作ろう、という気になるおいしさ」という声があがりました。
 オセロはブラウニーをコーヒー風味のパン・ド・ジェーヌでサンドした焼き菓子です。見た目でこの名をつけてみたのですが、いかがでしょうか。クッキーはピーカンナッツを使ったサクサクのクッキー。食べ始めたら、とまらないおいしさです。


 東日本大震災の後、ほんとうの豊かさとは何だろう、お菓子には何ができるのだろうと考えています。5年ほど前からSweets&Tableでは3年目以上のクラスでは、毎年テーマを決めて「お菓子の歴史」の話を振り返ることにしています。今年のテーマはお菓子の変革期で、今月は17世紀後半に確立されたソフトなお菓子について考えてみました。今日のお菓子にたどり着くために、人は何と永々とした努力を積み重ねてきたことでしょう。それを知ることが考えるヒントになるとと思います。(三浦裕子)