英国ロイヤルバレエの『ジゼル』(6月30日)

sanpalceposterpanf 6月29日にサンパレスで英国ロイヤル・バレエ団の『ジゼル』を観ました。ジゼルはラウア・モレーラ、アルブレヒトはニーアマイヤ・キッシュです。『ジゼル』は私が一番よく観ている演目ですが、ロイヤルの『ジゼル』は初めてです。
キッシュはまさに王子という風貌。舞台に出て来ただけで期待に胸が躍ります。ジゼルのモレーラは可憐というわけではないけれど、気のいい村娘という感じで二人の息はぴったり。あの有名な花占いの場面もでの村の収穫祭の踊りの場面は生き生きとして楽しい。ダンサーの踊りは正確で品があり、これがロイヤルという感じです。

ですが、二幕には不満が残りました。ミルタの硬質な踊りは良かったのですが、ウィリ達の群舞がもうひとつなのです…。舞台が明るすぎたのでしょうか。幻想的な深い森という情感がでないのです。ジゼルのモレーラは王子の裏切りを知った時からの踊りは素晴らしかった。とくにウィリになって登場した時の踊りの、軟らかさ、儚さは抜群でした。ですが、ウィリ達と王子の掛け合いも何か平淡で…。『ジゼル』の世界に入りきれない私でした。何年か前に観たロイヤルの『ロミオとジュリエット』はどきどきするような舞台を思い出し、やはりバレエ団と作品の相性があるのかしら…などと思った次第です。

けれども、生の舞台はいいですね!こうやって舞台を観てああだ、こうだいえること自体が幸せで、嬉しく楽しいです。(三浦裕子)